2011年8月30日火曜日

女流歌人

百人一首では多くの女性の歌が選ばれている。
まだ女性の地位が低かった時代に、女性たちが表現の場をもっていた日本は、世界の中にあっても奇跡の国だったといってもいい過ぎではないだろう。
ただ「儀同三司の母」「右大将道綱の母」と名前がない女性作者もいるところが、女性の地位の低さを感じてしまう。
先日、新聞に河野裕子さんという歌人が紹介されていた。2010年に残念ながら亡くなってしまわれたが、すばらしい歌が残っている。
「しっかりと飯を食はせて陽にあてしふとんにくるみて寝かす仕合せ」
「朝に見て昼には呼びて夜は触れ確かめをらねば子は消ゆるもの」
母親だから、詠める歌なのだろうと本当に思う。
「たとへば君 ガサッと落葉すくやうに私をさらって行つてはくれぬか」
恋愛の気持ちもまた、心を打つ。
女流歌人のすばらしさ、力強さを感じてしまう。

先ほど紹介した右大将道綱の母の歌を紹介しておこう。
「嘆きつつひとり寝る夜の明くる間は いかに久しきものとかは知る」
 今夜もあなたは来てくれないのを嘆きながら、ひとり夜が明けるのを待つ間が、どれだけ長いか、あなたは知っているかしら。
受け身な存在ゆえ、女性の歌には切なさがあるのかもしれない。

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